生きてく、てくてく

世界中のすべての人が、その人らしくあるために。辛くて苦しくて、笑顔が思い出せない時、あなたの心がちょっと軽くなるヒントなりますように。

改札機にて-さり気ない所作に表れる優しさ-

元気チャージ度:★★★☆☆

 

普段何気無く使っている自動改札機。

ICカードをピッとタッチして、改札をくぐり抜ける、この動作をわたしは生まれてからいったい何回繰り返したのだろう。

 

ときどき、特に夜、帰宅ラッシュ時の改札口では、「ピッ」「ピッ」という機械的な音に混じって「バンッ」と言う音が聞こえてくることがある。

 

ぱっとそちらの方に目をやると、あからさまにイライラしているような様子の人がわざと音を立ててイライラを表明している様を見ることも多い。

 

正直、見ていて良い気持ちになるものじゃない。

 

たかが改札機の、たかがICカードをピッとやる動作だけど。

 

だから、あまり改札機というか改札が好きじゃなかった。不思議と「早くしなきゃ」と焦ってくるし、せかせかしていて落ち着かなかったから。

 

それに、イライラしている雰囲気がなんとなく伝わってくると、自分もイライラしたりして、良い気分になれなかったからだ。

 

それでも、改札もとい駅を使わなければ学校に行けないので、改札機をくぐり抜ける日々は続く。

 

その日の夜も、いつもと同じように電車を降りてホームから改札へ向かう。

わたしの家の最寄駅はそんなに大きな駅ではないのだが、帰宅ラッシュなるものもあり、だいたい数台の改札機に自然と長い行列ができる。

私も列に並び、また時折聞こえる「バンッ」という音にもはや心を無にしていたとき、

 

わたしの目の前の若い男性(20代くらい)が、

ものすごく優しく改札機に、ICカードをかざしていたのだ。

その様子を音に例えるならば、「そっ…」みたいな感じで。

 

彼のその所作を見たときに、彼の風貌とのギャップも相まってか(いかにも若者風だったので)ものすごく心が軽くなった。

なんとも言えない、嬉しい気持ちになった。

 

改札機に、ICカードをどうかざすかなんて、たいていの人は気にも留めない事かもしれない。

 

でも、わたしがつくづく思うのは、そういった細かい動作、細かい所にこそ、人間の本性が表れると思うのだ。

 

たかが改札機、されど改札機だ。

 

それに気付いて以来、わたしもICカードを優しく「そっ…」とかざしている。

改札機を見るたびに、その彼の後ろ姿と彼のやさしさを思い出す。

 

わたしの中の、さり気ない日常のさり気ない嬉しかった話。

 

 

 

元気チャージ度★みっつ!